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それゆけ !

『上賀茂探検クラブ』


        第2回

神社  人形劇
   


人形劇の はじまり はじまり〜

上賀茂 昔ばなし  「 豆 塚 ・ ま す 塚 」


ナレーター むかしむかし、深泥池のそばに、大きなほら穴があったげな。 あるみぞれの降る寒い晩、一人の男がこのあたりを通りかかったそうな。      すると穴の中からチラチラと灯かりが見えてな、誰ぞいるのかな、と思 って近づいてみると、中で二匹の鬼がおそろしい話しをしてたんやてー。

赤 オニ  「いっぺん久しぶりに村へ行って、百姓どもの作った米をとってきて、 酒でも喰らおうか・・・・」

アオオニ 「オウ、それはええ思いつきや。田吾作んとこの子牛も今がちょうど食  い頃やしな。ついでに村の娘でもかっさらってくるか」

赤 オニ 「それはおもろい。そうしよう。そうしよう。カンラカラカラ、カンラ カラカラ。」

アオオニ 「カンラカラカラ」

ナレーター と白い牙をむいて鬼たちが笑ってたげな。さあ、男はびっくりしてしもうて

男1 「こりゃえらいこっちゃ、えらいこっちゃ、ほんまにえらいことになりよった。 庄屋様に相談しなければならん! しょうやさま〜  しょうやさま〜」

ナレーター と村の庄屋さんとこへ飛んで行って、今聞いた話しを全部うちあけたらな、庄屋さんも

庄屋 「そいつぁ、えらいこっちゃ、えらいこっちゃ、さて、どうしたもんかのー ・・・いったい、どうしららええかの〜」

ナレーター と、心配で心配で眠れへんかったんやて。 そしたらなあ、ばあさんがな

ばあさん 「ほんなら日頃信心している貴神社へ行って相談して来はったら・・・」

ナレーター と言うので、その晩、腹巻の下にばあさんの作った豆もちを入れ、とっくりに御神酒を入れて、貴神社へ出かけることになったげな。神社につくと

庄屋  「貴の神さん、神さん、今、加茂ではかくかくしかじかで村中大さわぎや。どないしたらええか教えておくんなはれ」

ナレーター ポンポン、両手をたたいておがんだんやて。(月と星が出る) そのうち夜も更けてきて、寒うもなってくるし、ついつい神棚のおみきに手がのびてな・・・・。

庄屋 あ〜、うまい酒じゃ、もう一杯だけ。あー、うまい豆餅じゃ、あと一つだけ・・・
ナレーター そんなこんなのうちに、晩もおそうなって、ふた時ほどした頃や、急に神棚に白い光がさしたと思ったらな

の神さん 「加茂の庄屋、話はようわかった。そもそもあの鬼は、この貴船神社の端の穴が深泥池まで続いていて、そこを通って村へ行きよるのやさかい、穴の出口と入り口を塞いでしまうことじゃ。それから『鬼の目突き』というてな、柊の先にイワシの頭をつけて家の戸口にむすびつけておくのじゃ。また田の神さんにはズイキで作ったなますをしんぜて、鬼が来たら田を守ってもらうよう、頼んどくことじゃ。田の神さんには、わしの方からも一言いうとくさかい・・・・」

ナレーター というと、スーッと消えてしもたんやて。(太陽が出る) ハッと庄屋さんが気がついた時、外はだいぶん明かるうなっていたそうや。おみきを飲みすぎて寝てしもうて、夢を見てはったんやな。村にもどった庄屋さんは、村中の人を集めてよんべ神さんに聞いた話をしはったんやて。ほんで村中の豆を集めて、鬼退治のしたくをはじめたんや。       

そんなこんなのうちにその日がやってきたげな。ちょうど二月の寒い節分の晩やった。 穴から出てきた鬼は、何や村の方からええにおいがしてくるさかい、それにつられて家の前までくると、


赤 オニ うまそうなイワシの頭じゃ。食らってやろう。ガブリ!

ナレーター 思わずガブッと食いついた拍子に、目に火がついたように痛うなった。柊のトゲが目に刺さったんや。思わず鬼が   

赤 オニ ウォーッ イタイイタイ、何とかしてくれ〜。

庄屋 それ今や!

村のもん1 オニよ、でてけー

村のもん2 おにをやっつけろ〜

ナレーター 村中のもんが総出で鬼のきらいなイリ豆を、鬼めがけて投げつけたそうや。

赤オニ イタイイタイ! 何も見えんぞ。たすけてくれ〜

アオオニ にげろ〜

ナレーター 目はつぶれてしもうて見えへんし、後ろから豆は飛んでくるし、 鬼はほうほうのていでもとの穴へ逃げ込んでしもうたんやて。

村のもん2 豆で穴をふさいでしまえ

村のもん1 そうやそうや、もっとなげろ

村のもん2 豆をまけ!

ナレーター 村人は穴にいっぱい豆を入れてふたをして、 その上に山盛りに土積んだそうな.

庄屋 そうじゃ、ここを「豆塚」と名づけよう

村のもん2 反対側の穴もふさいでしまわねば

村のもん1 それ急げ!

ナレーター 村人は皆、深泥池迄続いているという穴の出口に一目散で駆け寄ったんやと。

庄屋 さあ、みなのしゅう、このあなをふさぐんじゃ。オニを閉じ込めてしまえ

村のもん1 そうじゃそうじゃ、このますでこの穴をふさいでしまおう

村のもん2 もう出てくるなよ

庄屋  そうじゃ、こっちは、ます塚と名づけよう

ナレーター 土の中にしか住めんようになった鬼は人間に仕返しをしようとおもって、 地べたの中であばれ回っとったんやて。 (毛氈をまくって、地面の下の雰囲気を出す)

アカオニ そうれ、暴れまくれ、あばれまくれ!

青鬼 地震でも起こしてやろうか、それ!ユラユラユラ〜

アカオニ 大根を下から引っぱってやれ!

青鬼 おお、そうじゃそうじゃ。ひょい!こりゃあ、おもしろいわい

t田の神さん こりゃあ〜!オニどもよ。何でそんなに悪さをするのじゃ。 そんなやつらはウンゴロモチにしてくれるぞ。えい!えい!

赤・青オニ ぎゃ〜!

ナレーター
田の神さんがそういうや否や、鬼たちはうんごろモチになってしもうた。もぐらにされてしもうた鬼は、それでもまだしょうこりもなく田や畑に穴をあけては悪いことをしよるさかい、節分が過ぎると子どもらが棒や空き缶を持って

村の子供1  「オンゴロモチや、おくった真ん中前のおんまえどう、センチ(トイレ)の隅までふくせー、ふくせー。」       (チャンチキチン、チャキチン、チャキチン、ドンドン)(繰り返す)

ナレーター と掛け声かけて、もぐらになった鬼を追い出したもんや。     それから加茂では節分になると、半紙に一銭銅貨と年の数だけ豆を包んで、どこか身体の 悪いところをさすって、田んぼの四隅にそっと置いとく風習ができたんやて。そしたら不 思議に悪いところが治ったそうや。鬼が豆といっしょに病気も持っていってくれるんやて。

村の子供1 おいらはサッカーのやりすぎで足が痛いから、こうすれば直るぞ

ナレーター 子供は半紙に一銭銅貨と豆を一〇粒包んで足をさすった 親から子、子から孫へと語りつがれた、このウンゴロモチという子どもの祭りは、今も、西賀茂の一部で受けつがれている。 節分のあくる朝は立春。やがて「さんやれ」がやってきて、田んぼのあぜ道にもふきのと うの頭が見えてくると、上賀茂の里にもようやく春の気配が近づいているということやし・・・・・。

               ウンゴロモチの祭りは、川上町の 岸本邦博さん にお聞きしました。


講師紹介
貴船神社 
奉賛会

久世 隆一 氏