| ナレーター |
むかしむかし、深泥池のそばに、大きなほら穴があったげな。
あるみぞれの降る寒い晩、一人の男がこのあたりを通りかかったそうな。
すると穴の中からチラチラと灯かりが見えてな、誰ぞいるのかな、と思
って近づいてみると、中で二匹の鬼がおそろしい話しをしてたんやてー。
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| 赤 オニ |
「いっぺん久しぶりに村へ行って、百姓どもの作った米をとってきて、
酒でも喰らおうか・・・・」
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| アオオニ |
「オウ、それはええ思いつきや。田吾作んとこの子牛も今がちょうど食
い頃やしな。ついでに村の娘でもかっさらってくるか」
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| 赤 オニ |
「それはおもろい。そうしよう。そうしよう。カンラカラカラ、カンラ
カラカラ。」
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| アオオニ |
「カンラカラカラ」
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| ナレーター |
と白い牙をむいて鬼たちが笑ってたげな。さあ、男はびっくりしてしもうて
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| 男1 |
「こりゃえらいこっちゃ、えらいこっちゃ、ほんまにえらいことになりよった。
庄屋様に相談しなければならん! しょうやさま〜 しょうやさま〜」
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| ナレーター |
と村の庄屋さんとこへ飛んで行って、今聞いた話しを全部うちあけたらな、庄屋さんも
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| 庄屋 |
「そいつぁ、えらいこっちゃ、えらいこっちゃ、さて、どうしたもんかのー
・・・いったい、どうしららええかの〜」
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| ナレーター |
と、心配で心配で眠れへんかったんやて。 そしたらなあ、ばあさんがな
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| ばあさん |
「ほんなら日頃信心している貴舩神社へ行って相談して来はったら・・・」
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| ナレーター |
と言うので、その晩、腹巻の下にばあさんの作った豆もちを入れ、とっくりに御神酒を入れて、貴舩神社へ出かけることになったげな。神社につくと
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| 庄屋 |
「貴舩の神さん、神さん、今、加茂ではかくかくしかじかで村中大さわぎや。どないしたらええか教えておくんなはれ」
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| ナレーター |
ポンポン、両手をたたいておがんだんやて。(月と星が出る)
そのうち夜も更けてきて、寒うもなってくるし、ついつい神棚のおみきに手がのびてな・・・・。
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| 庄屋 |
あ〜、うまい酒じゃ、もう一杯だけ。あー、うまい豆餅じゃ、あと一つだけ・・・
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